NSIホームページ<電気技術> 困った時の Q and A

Q1.遠隔プリンタが動かない。   200X年4月1日
 我が工場にてある自動装置を使って製品の検査を行っています。 装置の横に制御用のPCと、検査結果を印刷するためのプリンタを置いていて自動に結果を印刷させています。 その現場から工場敷地内の500m離れた位置にある事務所でも、同じ内容の印刷を複写の代わりに印刷させ、離れた事務所でもリアルタイムに結果を監視できるようになっています。 工場と事務所の間は、構内モデムで変換した信号を2芯のケーブル(ほとんどが地下を通している)でつないでいます。(下図参照)


 ところが、最近になって事務所のプリンタが印刷しなくなってしまいました。
工場内のプリンタはちゃんと印刷しているので配線が切れたのでしょうか?
原因がわかりませんが、非常に困っています。 早急に調査・修繕したいのですが。

A1−@
 うかがった内容からすると、大きく分けて2つの原因に分けられます。 どちらが悪いのかを、まず切り分けないと話が進みません。 1つ目は構内モデム、または、事務所のプリンタ自体が故障して印刷しない場合。 2つ目は、ご指摘の通り屋外の配線が切れてしまった場合。 の2つです。 1つ目の原因であれば故障したモデムかプリンタを修理(もしくは買い替え)すれば直るので、費用はたいしてかからないはずです。
 確認する方法は簡単です。
事務所にあるプリンタとモデムを、工場内に持ち込み、短い仮の線でつないでみて、プリンタ2で正しく印刷するか試してみればいいだけです。



屋外の配線が原因でないことを祈ってます。

Q1−A.確認してみました。 200X年4月2日
 いわれたように工場内でつないで確認してみました。 悪いことにちゃんと印刷してしまいました。 やはり、配線が切れてしまったみたいです。 配線工事をやり直す以外に手は無いのでしょうか? 新たに引きなおすと莫大な費用がかかってしまうのですが。
 切れた場所をうまく探し出すことはできませんか?

A1−A
 地下に埋まっている配線で切れた位置を特定するのは、まず無理だと思います。  また、地震でもない限り地下の配線が切れる可能性も低いと思いますし、断線だと断定するのも早いと考えます。 まずは、本当に断線しているのか確認してください。

 まず、テスタを用意してください。(抵抗が測れるか、導通すればブザーがなるタイプでかまいません。) それと、単線を500m以上用意し、下の図のように


 2本の線をそれぞれ導通があるかどうかを確認します・・・・・。
というのは冗談です。 この方法は、まったく現実的ではありませんね。
2,3mならいざしらず、500mもの単線を簡単に引けるぐらいなら、最初から引き直してしまえば良いわけで、実際は不可能です。 別の方法を考えるしかありません。
 そちらでもどうやったらよいか、良いアイデアを考えてみてください。

―――
Q1−B.どうやったらいいのでしょうか? 200X年4月2日
思いつきません、どうやって確認したらいいのでしょう?


A1−B
 配線の確認は2つの状態を想定して行わなければなりません。
それは、2本の線が内部でショート(短絡)している場合と、切れて(断線して)いる場合の2つです。 どちらの状態でも、印刷が正しくできなくなります。 (断線は思いつくのですが、短絡は意外と忘れがちです。)

◆ 短絡していないかの確認方法
 「短絡」の確認は簡単です。 一方の側で2本の線がショートしていないかテスタで確認すればよいだけです。 このテストで短絡していないとわかったら、次の断線テストを行います。 (導通が無ければ正常)

◆ 断線していないかの確認方法
 「断線」の確認は、一方の2本の線を事前にショートさせておき、他方を同じようにテスタで測ることで確認できます。 (導通があれば正常)

 500m離れても通話のできる無線機(か社内電話)で話をしながら、二人でこれらのチェックを行なったほうが早く確認できるでしょう。
 (ただし、これらのテストでは、1本だけ断線しているのか・2本とも断線しているのかを確認することができません。)

Q1−C.断線でした。  200X年4月5日
こちらで確認してみたところ、断線していました。 やはり、配線をやり直す以外ないのでしょうか?

A1−C
だめもとで、もう1つだけ確認してみてください。
1. 2本とも断線しているのか?  → 配線をやり直すか、無線等に変える。
2. 1本だけの断線か?    → アイデアと技術でカバーする。?
ただし、やり方によっては、少々危険が伴いますので自己の責任において十分に注意して行ってください。

 まず、「検電器」と呼ばれるテスタの一種を入手してください。(大きなホームセンタでも簡単に手にはいるはずです) ネオンランプが点灯するタイプや、電池が入っていてブザーが鳴ったりLEDランプが点灯したりさまざまなタイプがあります。 家庭用のAC電源の極性を調べることができる装置です。

 入手できたら(説明書をよく読んだ上で)、AC100Vのコンセントの片側に差し込んでみてください。 接地側であればランプが点灯しませんが、逆側(ホット側)ならばランプが点灯します。
これでそちらの事務所にあるACコンセントのホット側を確認しておいてください。

この検電器を使えば、1本の単線で導通があるか、断線しているかがチェックできます。
ただし、コンセントにそのままつなぐのは危険ですので、次のような簡単なテスト器具を作ってください。 コンセントプラグの一方に100kΩの抵抗を通して、安全に(簡単に)ホット側につなげられるようにクリップを付けておくと良いでしょう。

 ここを調べたい線の片側に接続します。

 これらの装置を使って、一方をコンセントにつなぎ、もう一方の線を2本ともを検電器でチェックします。  配線が長い場合、検電器が触れた瞬間、一瞬反応してしまう場合もありますが、断線していればほぼランプがつくことはありません。

2本とも断線しているのであれば、まったく反応が出ないはずですし、一方でもつながっているのであれば、どちらの線がつながっているのかを特定できます。
 試してみて、結果を教えてください。


―――
Q1−D.片側の線はつながっていました。  200X年4月7日
 教えていただいた方法でチェックしてみたところ、片方はつながっていて、1本だけの断線でした。 ただ、1本しか配線がつながっていないのにどうしたら通信できるのでしょうか?

A1−D
 片方の線だけでもつながっていて良かったですね。 これで何とかなるのではないでしょうか。
 確かに、通信を行うためには(と言うより、回路として成立するには)信号の行きと戻りの2本の線が必要です。 1本は配線が生きているのですから、もう1本あればいいわけですが、実はあるのです。 それは、大地(地球)です。
 
電気信号を電波に変える送信機の基板と、受信機の基板を用意します。 通常は送信機の出力はアンテナにつなげ、空中を電波として伝わり、受信機に届くわけですが、これを1本の電線で直接、受信機につなげてしまうのです。


これで、1本の線でも通信ができるはずです。

ただし、環境によってデータが化けてしまう(伝送ミスが発生する)場合が十分に考えられます。 よって、データの誤りを検出するためのCRCコードを付けて送信し、誤りが発生したら再送できるような機構にした方が良いでしょう。 そのためには、印刷データを小さな塊(パケット)に分けて送り、受信側で元のデータに戻す必要があります。 また、「再送の要求」をプリンタ側から送る必要も出てきます。(事務所から工場側へも通信を行う必要がある)
これらの条件を考慮して、システムの設計を行うと下のようなブロック図となります。


 送受信回路のAとBで周波数を変えることによって、1本の線上で同時に送受信を行っても正常に通信が行えるようになるはずです。

このような構成のシステムに変えることで注意する点や不都合はないのだろうか?

1つは、伝送経路の配線から発する電波が強すぎる場合、電波法に抵触してしまう点で、送信回路には微弱電波しか発生しないものを使用しなければならない。(配線のほとんどが地中であれば問題ないと思うが) もうひとつ、不都合点を強いてあげるならば、今まで使用していた高価な構内モデムが、2つも必要なくなる点である。

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